みんなの、わたしだけの特別な時期。 [HIRAKEコラボ]/辞書企画vol.5「青春」

みんなの、わたしだけの特別な時期。 [HIRAKEコラボ]/辞書企画vol.5「青春」

辞書の語釈を手掛かりに、1つの言葉と格闘する「辞書企画」。今回は、高校文化部をサポートする学生団体 HIRAKE のメンバーのみなさんにお集まりいただきました。

日頃、部活動サポートを通して多くの高校生に「青春」を届けているHIRAKEの皆さんですが、「青春」という言葉の意味について深く考えたことはなかったご様子。

学生団体HIRAKE 代表インタビュー記事は こちら ↓

自己紹介ーーそれぞれの考える「青春」

さとし

横浜国立大学経営学部1年。中高でサッカー部に所属。高校から起業に興味を持っていたため、HIRAKEに加入。マイブームは銛突き。

青春=心の満足度がマックスの状態。同じものにみんなで夢中になって、同じ目標を目指しているみたいな、仲間と共通意識を持って動いている時。

ゆい 

日本大学文理学部2年。中高でバレー部に所属していたが、文化部/運動部の不平等を知っていたため、文化部の活躍を応援したいと思い、HIRAKEに加入。マイブームは韓ドラ。

青春とは、今の自分の元になったもの。

なつき

同志社大学法学部政治学科1年。起業に興味があり中高では合唱部に所属していたため、HIRAKEの思いに共感して加入。マイブームは、走ること。

青春は、心の中で若々しく好きなことに打ち込める時期。青年期にかかわらず、年を取ったとしても、心の持ちようによってその人が自分の中で青春だと思えば青春。時期は各々が決めること。

大石

横浜国立大学経営学部1年。「遊び系」サークルにしか入っていなかったため、真面目なことがしたくなりHIRAKEに加入。ダンスを頑張っている。

青春は、全力。

進行:ナカノ

まず、辞書ではどのような定義がなされているか全員で確認しました。

辞書の語釈

せい-しゅん【青春】

(名)①春。 ②年が若く、元気な時代。 

―期(名)少年期と壮年期との間。男女ともに心身が十分に発達・成熟する時期。思春期。

山田俊雄・吉川泰雄編『角川新国語辞典』1981年、角川書店

「青春」と聞くと……

ーー辞書を見ると、若さの記述が目立ちますね。ですが、青春と聞いてイメージするのはそれだけでしょうか。みなさんはどんな時期を思い浮かべますか。

さとし:中高サッカー部でした。汗を流して、「みんなで同じ目標に向かって頑張ろう」っていう状態が一番「青春」に近いかなと。

大学生になった今も、「青春」を感じることがあります。例えば、朝まで友達とzoomを繋いで人狼して遊んだり、しゃべったり、そういう時間です。

ゆい:「青春」って一見キラキラした印象があるんですけど、自分の中では、苦しかったことや、壁を乗り越えたことも青春の一部かなと思っていました。

私の場合は、それがちょうど中高でした。バレー部で部長をしていたんです。

大石:私は主に高校ですね。一言で表すと「一心不乱」という3年間。

今振り返れば、勉強、部活、行事と、すごく忙しかったです。余計なことを考えずに、ただひたすらやるという時期でした。

なつき:私にとって、青春には2つの時期があります。

まず一つ目の時期は、まさに今です。大学生になって、HIRAKEや他3つのサークルに入っているため、毎日何かしら予定があって、忙しいです。その忙しさが、充実した「青春」に繋がっていると感じます。

もう一つは、自分が中2から中3に上がる時。それまで通っていた学校が廃校になって、新しくできた学校に最後の1年間だけ通うことになったんです。何もない状態から新しく出会う人たちと新しい歴史を作る。いろんな行事を一緒にやって、新しい学校の最初の生徒として過ごしたのは、他の人にはない思い出です。これまでをふりかえると、その1年が、一番青春だったなと思います。

ーー汗をかいた思い出が多いようですね。

さとし:うーん、みんなで楽しむことも「青春」だと思いますね。自分の過去を振り返ると、「仲間と一緒に楽しんでいる」という印象が強いです。

ーー歴史を刻んだっていうなつきさんの話が意外だったんですけど、それってどういう感じなんだろう。

なつき:今まで全く知らなかった人と突然クラスメイトになったというのが新鮮で、刺激的で。頑張ったというより楽しかったという方が「青春」という言葉に近いのかなと思います。

青春の影

ゆい:私の中高の記憶は、「楽しい」「キラキラ」より、「苦しい」「辛い」ものとして思い出されます。さらに、それをみんなで乗り越えたから、苦しかった。辛かった。でも、だからこそ、その経験を生かして今こうやって頑張れていると思うんです。

大石:確かに、影もあったと思います。

さとし:サッカー部できつい思いもたくさんしたけど、その後の達成感が今、その思い出を「青春」に変えているのかなあと思います。

なつき:全ての思い出がいい思い出として残っているわけではないけど、もがき苦しんだ思い出も、今振り返ってみれば、あの時経験してよかったなあと思う。それも含めて青春だと思います。

ー-辛いこともあったのに、なぜいい思い出と言えるんだろう?

さとし:今考えれば、走った後は楽しかったなあと。結局、楽しいことがあったからこそ、辛いことも青春に変わったと思います。

大石:大学生になって、自分の時間が増えました。その中で、昔の時間がなかった時を思い出すと、当時は、一日にいろんなことを詰め込んでいて、充実していたんだなあと思います。それが、記憶の美化に繋がっているのかなと。よくよく考えたら、高校時代の勉強面は影だったけれど、時間が経って環境が変わったら、見方が変わりました。

なつき:喧嘩も多かったので悩むことも多かったですね。当時はすごい真剣だったけれど、今振り返れば「幼かったな、自分」と笑えるようになって、その結果、いい思い出だったと思えるようになりました。

――青春の中で、今に繋がる、役に立っている、というようなことはある? 

さとし:役に立っているのは辛い部分かも。勉強はめちゃめちゃ辛かったけど、その分集中力がつきました。楽しいことでためになったのはあんまないかもしれないっす。役に立ったのは、遊び方を知ったぐらいかな。

大石:特に役に立ったことはないかもしれないです。廊下で笑いながら騒ぎすぎて、周りからの視線を気にしなくなったっていう変化はあったけど(笑)。

今は青春……?

――今って、青春?

ゆい:「今青春してるなぁ〜」とは感じないですけど、将来青春だと思うんじゃないかな。

大石:めっちゃわかる!

ゆい:青春を一言で表すとしたら、「今の自分の元になったもの」と考えていたので、今が青春とは考えてなかったですね。今が一杯一杯で、あまり今を俯瞰して見ることがないので。

大石:小中の頃に、高校生活がテーマの映画とか見るじゃないですか。高校に入ったら当たり前にロマンチックな恋愛があると思っていましたが、実際高校生になってみて「あれ、現実では違うんだ」ってギャップを感じましたね。

でも、今思えばあれが青春だったんだなあと思う。当時はあまりありがたみを実感できていなかったのかな。今になってありがたみを感じます。

――ゆいさんと大石さんは、自分の時間を俯瞰した時に「青春」を感じるんですね。さとしさんとなつきさんは?

さとし:うーん、やばいやつ感あるんですよ、「ああ俺青春してる〜〜(喜)」っていうのは。

でも僕は、数分前の記憶を「青春」と思っているかもしれないですね。現在進行形で考えるというよりは、直近の記憶を振り返って「青春」だと認識している、というか。

なつき:私は今、将来社会人になった時、「一番自由で遊べる大学生の4年間が一番の青春」と思うだろうって考えて過ごしています。つまり、人生を長期的に捉えて、「今」がいちばんの青春になるだろうと考えながら過ごしているので、結果、今が青春だと思っているんだと思います。

「青春」のイメージはどこから来たのか

ーー俯瞰したり振り返ったりするにしても、「青春」を感じられるのは前情報によってイメージが構築されているからではないでしょうか?「青春」のイメージとは、どこから来るのでしょうか。

大石:映像が大部分をしめていると思います。映画なら『ストロボエッジ』『アオハライド』。ドラマなら『表参道高校合唱部』。CMなら進研ゼミとか、メディアからの影響って大きいかな。

ゆい:私は1個上と4個上のいとこがいるんですけど、そういう身近な人から聞いた話がイメージを作っていたかもしれないです。例えば、すごく印象に残っているのは、私が小学校の頃、いとこの爪がちゃんと切られていて衝撃を受けたこと。自分の中で勝手に、高校生は爪を伸ばしていいというイメージがありました。「校則で切らなきゃいけないんだよ」って教えてもらって、驚きました。

青春の憧れも、現実も、身近な人からインプットされた気がします。

なつき:自分は理想とかはなかったです。生活しながら、「これが青春なのかな」みたいな。

さとし:自分の中高のサッカー部では、学年ごとで活動が全く違ったんです。1個上の大会を見に行ったりするんですよ。その時、「こういうチームいいな」って思ったりして、それが俺の青春になったのかな。

 HIRAKEは青春をサポートする

――HIRAKEでは、皆さんが他の人の青春を応援する立場ですね。今高校生活を送っている人たちに対して、どんな青春にしてあげたいと思っていますか。

ゆい:悔いのない青春を過ごして欲しいと思っています。自分は、他の人に支えられて、自分のやりたいことができて、すごく周りに恵まれたなあと感じています。なので、自分のチャレンジしたいことを悔いなくできるようなサポートがしたいです。

大石:自分のリミットを決めつけないで、どんどん上に上に上に行って欲しいと思います

なつき:高校生が部活という場で、将来振り返って「青春だった」と思えるように活動していきたいです。

さとし:達成感を感じてもらえるようなサポートをしていきたいです。

結論、青春とは何か

――それでは最後に、「青春」とは?

ゆい:私は最初に、「今の自分の元になったもの」と表していました。だけど、今日話してみて、「青春」は今だけじゃなくて、未来にも繋がっていることだなあと感じました。

私には、外国人の方に日本語を教える先生になるという将来の夢があります。その夢は中高校生の時から思っていたことなんです。青春とは、今だけじゃなくて、未来にも繋がっているもの、今とか未来の根幹となる経験なのかなと思うようになりました。

大石:最初、「全力」って言ったんですけど、青春は「個性」だなあって思いました。

なつき:最初、明るいイメージばかりを想定していたんですけど、そうじゃない一面も青春に含まれていたと改めて感じました。

さとし:「みんなと共有できた思い出」が青春になるのかなと。みんなと同じ方向を向いて頑張った経験が青春になる、そういうことだと思います。

今回ディスカッションに参加していただいた皆さんの所属するHIRAKEは、高校文化部を盛り上げる活動を行なっている団体です。

学生団体HIRAKE

高校生を応援する学生団体。高校文化部、そして文化部に関わるすべての人に可能性の扉を拓くことを目指す。文化部をより活発化させるアプリを開発中。

HIRAKE オフィシャルサイトは こちら

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モエコ

副編集長。福井県出身の大学生。日本近代文学専攻。

好きな言葉:「書は言を尽くさず、言は意を尽くさず」
編集部での役割:ねちねち編集、校正、Instagram、諸々のちいさなこと

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