私を支えてくれる曲 /文殊の知恵 vol.2

私を支えてくれる曲 /文殊の知恵 vol.2

編集部員3人がいま興味があるテーマについて話し合う「文殊の知恵」企画です。

第2弾は「自分を支えてくれる曲」について話し合いました。

参加者

ナカノ:矢野顕子 「Home Girl Journey」

モエコ:コブクロ 「door ~the knock again~」

フク:中島みゆき 「ファイト!」

フク:そもそもこの企画のきっかけを整理したいんだけど、最初にこのテーマを決めてくれたのはモエコだよね。

モエコ:わたしは、その人のことを知りたくなった時 「一番好きな音楽、映画、本は何ですか」って聞くんですよ。好きな作品は、その人のパーソナリティを反映している気がして。このメンバーでまだこの話をしたことなかったなと思って。

フク:確かに。「あなたはどんな人ですか」って聞きづらいけど、「好きな曲は何ですか」なら聞きやすいし、その人がどんな人なのか推測できるね。モエコは、コブクロの「door ~the knock again~」を「自分を支えてくれる曲」として選んでくれたけど、数ある曲の中からこれを選んだ理由は?

モエコ:これは大学受験の時に聞いていた曲。人生で一番再生した曲だと思う。最初は歌詞や音楽がいいなと思って聴いていたんだけど、聴くうちに「この曲を聴く」ということ自体の意味がだんだん深くなっていって。自分の短くて長い受験期の中で、色々うまくいかないこともあった。その中の色んな場面で聴いた記憶が丸ごとこの曲に付随して、曲が曲だけにとどまらず、すごいでっかいものになった。聴きすぎて、黒田さんの呼吸のタイミングまで自分の中に染み込んでるんだよね。

フク:受験の時によく聞く曲ってあるよね。ナカノはこれを聴いてどう思った?

ナカノ:モエコがこれを選ぶのは意外だったな。モエコがコブクロファンなのは知ってたけど、あんなに黒田さんが声を荒げながら歌うイメージはなかったし、一回聞くだけですごく胸に来た。それをモエコは何度も繰り返し聴くんだ、と。

フク:わたしは歌詞が人を鼓舞する歌詞だと思う。

ナカノ:「Home Girl Journey」どうだった?

フク:イントロ長いなと思ったら、気が付いたら次の曲に進んでて、インストゥルメンタルじゃんと思った。(笑)どうしてこれが支えてくれた曲?

モエコ:わたしもこれ、最初作業用BGMじゃんと思っちゃった。(笑)

ナカノ:これは、“Home girl Journey”というタイトルがミソで。「ホーム」にいた女の子が旅に出るという意味なの。この曲はお母さんから教えてもらったこともあって、下宿先の部屋で一人この曲を聴くと背中を押されている気分になるんだよね。これを聴くと、新潟(ナカノは新潟出身)の友だちや、「かわいい子には旅をさせよ」という親の想いが感じられて、すごく前向きになれる。

フク:なるほどね。その文脈じゃないとわからないね。それは。まさか新潟の田舎の風景がつながるんだと思って、面白いなと思った。わたしの曲は中島みゆきの「ファイト!」で、浪人時代にカロリーメイトのCMで見て、そこからと割と聴いてた。「冷たい水を登って行け」みたいな歌詞で、受験を乗り越えられた。王道ですよ。でも受験が終わってからは「ファイト!」あんまり聞いてなかった。ナカノは「Home Girl Journey」が大学生のあいだは心にヒットすると思うんだけど、モエコはコブクロの曲、聴く?

モエコ:聴く。目標があった受験期の自分を忘れないように、戒めのために聴いてるかな。

フク:いいね。臥薪嘗胆みたいな。わたしはあまりにも情景が鮮明に密接にその曲と結びついているので、あんまり聴かないかな。今は楽しみたい。

ナカノ:モエコと同じで、わたしも音楽から情景をよみがえらせたい。新潟の人たちが私を思ってくれてるということを忘れたくない。私は一人で生きているけど、私に「生きて!」って思ってくれる人がいることを忘れたくないんだよね。

フク:曲だけじゃなくて、新潟の人の想いもナカノの心の中で支えてくれるってことなんだね。もう一回聴きたいね。


ナカノ:これが面白いところなんさね~。

モエコ:この三人の曲に共通して言えるのは、曲が曲だけでなくてその中に過去の経験や思い出が蓄積しているところだよね。

ナカノ:「自分を支えてくれる曲」になることに、歌詞って関係しているのかな?

モエコ:「door ~the knock again~」の歌詞の一番では「航海は僕に何を教えてくれただろう」というのがあるんだけど、二番では「後悔は僕に何を教えてくれただろう」に変わるんだよね。それまでは全く気づかなかったのに、第一志望の大学に落ちてから、初めてこの違いがある事に気付いたんだよね。チャレンジしなかったことへの「後悔」は自分に何を与えたかという歌詞が直接自分に重なった。聴く時期によって曲の印象も変わるんだなと思った出来事だったな。ということは、わたしの場合、歌詞は重要な要素なんだと思う。

フク:じゃあ、インストゥルメンタルな曲はいつ聴くかによってそんな違いが出てこないかな。

ナカノ:いや、あると思う。矢野顕子さんの曲は生まれる前から聴いてたみたいなんだけど、耳が反応したのは19年後、一人暮らし始めてからだったから。

フク:もしかしたら今から20年後とかにナカノはBGMとして聞いてるかもね。頑張るための曲じゃなくて。

モエコ:インストゥルメンタルだったら、歌詞がない分、自分をずっと支えてくれるかもね。歌詞があったら共感できない時が来るかも知れないけど、インストだけだとそれがないからね。

ナカノ:アルバムの中のどの曲をとってもアーティストの強い思いがあるけれど、それに加えて、その一曲一曲と聞く人のどんな経験が結びつくか、ということもすごく大切だよね。

フク:今日はみんなから名言が出てたね。経験と音楽が合わさるってことで、次回も引き続き曲の話をして、最近刺さった曲を持ってこよう。今の自分とマッチしてるってことは、なにかつながりがあるから、そこについてはなそう。

モエコ・ナカノ:おっけー!

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フク

1999年生まれ、福島県出身。Instagram:nimekobe

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