中学校の教科で一番役に立ったのは?[yu-an youthコラボ企画2] / 文殊の知恵vol.4
2021年6月27日、yu-an youth さんのイベントにて、ディスカッション&編集イベントを開催しました。企画の目玉は、自分たちが話したことを、自分たちで直接「編集」するということ。この記事は、参加者4人が、ディスカッション後、リアルタイムで共同編集したものです。
ディスカッションテーマは「中学校の教科で1番役に立ったのは?」。参加者の育った国や地域は異なりましたが、1時間の間に意見の合致や相反が繰り返される、エキサイティングな議論でした。
↓yu-an youth イベントレポートはこちら↓
参加メンバー
アユさん 京都在住。大学院生。研究課題は15世紀ドイツのキリスト教祭壇画。中学生時代は北海道。
イシハラさん 京都在住。大学生。美学芸術学科。中学生時代は鹿児島県。
安井将剛さん 京都在住。大学生。仏教学科。MAJIME ZINEには「漢字はうざったい?/偏愛道vol.3 漢字」を寄稿。中学生時代は大阪府。
TOKUNさん 京都在住。大学生。美学芸術学科。MAJIME ZINEには「表現とは、「勝手にしてしまうもの」 /君のメディアvol.3」を寄稿。中学生時代は中国。
中学での学習がベースとなっていること
T:一番役に立ったのは英語。英語の勉強で自分の世界観を広げたし、考え方が多様になった。例えば、英語で映画を見たり、ニュースも読んだり。自分の情報を探すためには英語が必要だったね。
ア:オリンピックの扱い方を見ても、BBC(英国放送協会)と日本のニュースでは全然違うよね。中国ではどの程度のレベルまで英語を勉強するの?
T:授業では話すことが大事にされていた。他には、読むこと、発音、書くこと、聞くことをトレーニング。違う言語を話すと自分も違う人格になるし、英語の授業で自分の価値観が広がったな。
ア:私の中学校の時の英語は今では役に立ってないな。
安:中学英語は、今、英語を読むときのベースっちゃベースですけどね。
T:中学校の英語レベルで、映画の雰囲気が自然にわかってくる。自分も文法間違いは多いけど、ネイティブの人も間違った文法で話したりしているしね。中学の英語の授業が大体ベース。
イ:ベースという点で言えは、中学社会。三権分立とか、選挙とか、そういうことの勉強が無かったら何にも知らない人になっていたと思います。興味を持った時に知るためのベースを、社会で教えてもらいました。
T:社会は単語を教えてもらうけど、試験でしか使わなかったな。
イ:社会を学ばなかったら、日本の都道府県もわからないひとがいるはず。
数学の論理的思考力が役に立っている
ア:私は、中学卒業後シュタイナースクールに行っていたのね。16歳で高卒認定試験を受けて取れたから、それ以外勉強していなくて、数学はまともにやったのは中学が最後。
T:中国でも高校で文系と理系に分かれるのだけど、文系の人はなんで数学をやるのかわからなかった。中国では英語、国語、数学が必修。自分が高校生の頃、文系だと「文化総合」、政治、あともう一つ。理系は生物、科学、物理。それぞれ試験の科目は決められてた。
安:僕は中2のとき数学を捨てたけど、中高一貫だから卒業できちゃったんだよね。
イ:私は高校で大学受験のためだけに勉強していました。数学はテストで赤点取らない程度に……。常に中学がベースだったから、段々成績が下がっていきましたね。
安:ただ数学を勉強する人には論理的に考える力がつくと言いますよね。僕も(数学を捨てたとはいえ)授業自体はずっと受けていたから、その断片は残っていたかな。
ア:幾何学の証明を文章で書くのが好きで、今でもたまにその感じでレポートを書いていることがある。数学に関しては、私は高校でまったくやっていなかった。
T:中学校の時、答えがある事に興味がなくなりました。
ア:答えがあると思うことが傲慢だと思ってた。人の答えにあてはまりにいくのは嫌。
イ:勉強すればよかったとは思います……。
安:みんな文系なのに数学の話をして、大事だと思っているのはすごいですね。
「理科は好き」
安:宇宙物理が元々はやりたくて。宇宙飛行士になりたかったんです。数学ができなくて諦めたけど。ただ大学での宇宙物理学の授業は楽しかった。専攻より真面目に取り組んだりしました。
ア:理科は好きだった。国語と理科は点数良くて、数学と社会は悪い。成績も興味も。
イ:私も。自分が生きていくなかで役に立つのが好きですね。今まで出会ってきた現象が文章になっているのが好き。
安:水素の実験とかやってみたいな、と思ってた!池に塩素投げ込むやつ(笑)
今の専攻と中学の教科の関係は?
T:今の専攻と中学の教科は関係ある?
イ(美学芸術学を専攻):美術の先生は良かった。
T(美学芸術学を専攻):中学校での美術の授業は少なくて、1年で5コマあるかないか。若い美術の先生が、大学の授業みたいにアーティストを紹介してくれた。あとは、黒板の上でずっと丸い絵を書いている授業とかね。中学校の美術の授業で近現代アートと初めて出会って、答えがあるものより面白いと思った。今の現代アートに対する興味と繋がっています。
ア(美術史を専攻):中学の美術は絵を描く授業だったんだけど、好きで美術大学へ行こうと思ったこともあった。(TOKUNみたいに)中学の時点で美術史、現代アートを学べるのは良いよね。大学に来てから学ぶと、好き嫌いが分かれるから。
イ:歴史の授業の文化史の部分が好きで。そこから美学芸術学専攻へ来ました。
ア:私は社会が好きじゃなかった。生活に結びつけられなかったから。
安(仏教を専攻):今の研究に興味を持ったのは、《金剛力士像》がルーツ。東大寺南大門は中学の実習で行きました。金剛力士像を下から眺めたら、社会の授業で既に見ていた眺めでした。歴史の授業の文化史はテストでは嫌われる傾向にあるけど、そこでは役に立ちました。
印刷じゃなくて、実物を見ていたら文化史も楽しかったかも。コピーじゃわからない。美術はちゃんと勉強していないけど、案外みんな今に繋がっていますね。
国語は印象薄いよね
安:文学部なのに国語が話題にない。国語はどうですか?
イ:国語は授業より生活の中で見についた国語力ですよね。
ア:小説出すのやめろって思う。
イ:小説の問題は(テストが)できるときとできない時がある。
T:ネタとして話してるんだけど、近現代の小説を作家の意図とか書く問題があるけど、その答え(先生からの)にロジックはなさそうだなと思った。やりすぎるイメージを書く。そして、作家本人もそのような考えではない気がする。先生がつくった答えが正しいなら、生徒の答えは自由ではなくなる、なぜ生徒が理解したのが正しくないの?
安:解釈違いで文句言ったら点数下げられたりした経験ある!
ア・イ:古文漢文は論理的にやったけどね。
T:語文(中国の授業)は失敗だったと思う。卒業後、中国文学に興味持ち続けていた人はほとんどいない。みんな興味なさそう。その人の背景とか教えてくれたら他の文学に興味を持ったりしたかもしれないし。自分が体験した授業はそうだった。
ア:中国の古典は世界的に見ても素晴らしいのにね。
安:僕は国語の授業より、自分の読みたい本選びに教科書を使ってた。
イ:高校では「そういう考えの人もいるんだな」くらいの気持ちで勉強してた。私、先生に目をつけられていたのでめっちゃあてられてたな。小学校でやってた漢字くらいかな、国語の中で役立ってるの。
ア:そういえば、中国ではどうやって漢字を習うの?
T:毎日漢字を書く練習と、テストがあった。中学校以降、日本では単語を学ぶ方が多いけど、中国では四字熟語とかやった。後は古文とか。古文だと、今でも漢字を読めないことが多いし……。
ア:日本でもそういう感じだよ。
T:繁体は自然に読めます。意味を間違うことがむしろできない。漢字がわかるから連想できるんですね。簡体を連想してわかったら、繁体の意味も連想できるようになる。台湾の出版物も分かるし。簡体の方が普及しやすいが、中学校の古文でも簡体に直した文を勉強するのはおかしい思う。
ア:日本語でさえ、英語の論文で書ける1文字を書くのに大体2回キーを押さなくてはいけないから、手をすごくたくさん動かさなきゃならない。
T:中国語もそうです
イ:他の言語のレベルが一定以上にならないと、その気持ちはわかんないですね。
ずばり、役に立った教科は?
ア:数学
イ:社会
安:数学
T : 英語
ナカノ
編集長。大学院生。美術史専攻。
好きな言葉:「手考足思」(河井寛次郎)
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